背景と目的

背景

沖縄県民の健康状態をご存知ですか?

 

 

平成22年の主要死因の年齢調整死亡率および年齢階級別死亡率の報告によると、長寿と言われていた沖縄県の平均寿命は女性が3位、男性が30位と転落しました。平均寿命が短くなったわけではありませんが、順位は転落していす。他の都道府県平均寿命の延び幅と比較すると、沖縄県の平均寿命の延び幅が鈍化している(前回の2005年から伸び悩んでいる)こともわかっています。

疾患別にみた年齢調整死亡率では、男女ともに35歳~59歳は多くの疾患で下位のワースト5に位置しているのに対して、60歳以上では上位に位置していることがわかりました。働き盛り世代と高齢世代で健康状況に大きな差があるようです。疾患別にみた年齢調整死亡率によると、男女ともに35歳~59歳は多くの疾患で下位のワースト5に位置しているのに対して、60歳以上では上位に位置していることがわかりました。働き盛り世代と高齢世代で健康状況に大きな差があるようです。

世代によって健康状況が大きく異なることから、食習慣にも世代による違いがあることが考えられます。上の図は沖縄の食習慣の変遷を示しています。かつての沖縄の伝統的食形態は、米軍統治下で高脂肪食の影響を受けました。そして本土復帰後は、日本の食形態(醤油や味噌の文化)の影響を受け、食塩の摂取量が増加傾向にあります。

 

 

また、沖縄県では肥満者の割合が日本一多く、野菜摂取量が少なく、1日あたりの歩数も少ないことがわかっています。健康おきなわ21(第2次)では、肥満の改善に加え、特定健診・がん検診の受診率向上、アルコール対策3つを重点項目に掲げています。

事業の位置づけ 

本事業は琉球大学が沖縄県福祉保健部健康増進課から委託を受けた沖縄振興特別推進交付金事業における調査事業です(平成24年度~平成28年度)。

メンバーは医学部、地域医療部、教育学部、法文学部、保健管理センターなどの多岐にわたる組織から構成されています。

 

 

沖縄県の健康づくりには、血圧や血糖値などが高く、病気のリスクが高いハイリスク集団へのアプローチと、ポピュレーション(未病の人も含めた地域住民全体)へのアプローチをいかにうまく組み合わせるかが大事なポイントになります。ハイリスク対策と同時に、予備軍を増加させない、健康な方の健康増進を進める視点も重要です。そのためには、沖縄県の人と人とのつながりの強さや、ユイマールの心を地域全体の健康づくりにつなげていく工夫が大切です。

 

 

なぜ沖縄で地域の力(ユイマール)を意識した健康づくりをするのか?

「ソーシャル・キャピタル」の考え方

 

また、先行調査として以下の調査があります。

先行調査 JAGES-Study Okinawa

【方法】N市「健康とくらしの調査」

 

 

対象者: 65歳以上のN市地域在住の自立高齢者

調査方法: 留置法

(民生委員による個別配布:配布・回収数  各4地区の福祉センターで回収取りまとめ)

配布回収時期: 2011101日-201231

回収率: 70.6% 4033名/5714

(追跡同意者: 3823名 66.9%

全国平均は68%

健診データ・介護保険データによる健康指標、健康寿命喪失等をアウトカム指標とする。

 

 

【参考結果】3年以内の健診受診に関連する要因

⇒健康行動の一つとして、地域の健診受診について、組織参加の多い人、地域への信頼感、助け合いの規範など、ソーシャル・キャピタルの指標が高い人で、健診受診が高い傾向。一方で、生活習慣の悪い人で健診受診行動が少ない傾向がみられた。

 

 

 目的

取り組みの3本柱

本事業では次の3つを柱とし、沖縄県民の健康増進を目指すこととしました。

①実践的で簡便な食育による食生活の行動変容法の開発

生活習慣病のリスクの高い中壮年世代の沖縄県民を対象に

肥満

食塩摂取

高血圧罹患率 等の

低減を目標としています。

 

②子どもから高齢者までの健康づくり

子ども、親世代および地域住民(高齢者含む)への食育・食事実践・情報提供等が地域全体の健康意識・行動を向上させるかについて調査します。

その結果、メタボリックシンドロームの多い中壮年世代の健康意識ならびに健康指標の改善につながるかについての検討を行います。

 

③ユイマールを活用した健康づくり

ソーシャルキャピタル(地域の絆、ユイマール)を活用した健康づくりの確立を目指します。

 

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